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2005年11月03日
広島原爆 VS 真珠湾攻撃 VS 南京大虐殺
最近のマイブーム: 歴史議論
今年のMBAクラスには57人の学生が居ます。アメリカ人だけでなく、南米、ヨーロッパ、アジア。世界中からUCSDに来ている学生は、多種多様な価値観を持っています。
昼休みに、韓国・台湾・中国の学生ら3人とランチを食べながら、アジアの歴史について話していました。韓国出身のリーは「以前、韓国人と日本人で歴史観の違いについて大喧嘩になったから、あまり話したくない」と不安な表情。台湾出身のシンディーは、「昔、南京の近くに住んでいた祖母から南京大虐殺の話を聞いて、その後は暫く日本製のものを買わなくなった。ペンテルとか (笑)」と明るい。中国人のエンは、アメリカ生まれアメリカ育ちだけど、UCSDに来る前の1年間、水戸の中学校に英語を教えに行っていたから、日本と中国とアメリカ3国の価値観がわかるとのこと。
それぞれが持つ価値観は、育ってきた過程で刷り込まれたもの。その人にとっての真実とは教科書、先生、家族、マスコミなどが「真実です」と言ったもの。
南京大虐殺の被害者の数ひとつを取っても、日本人が想定している数字と中国人が想定している数字はかけはなれている。広島に対する原爆攻撃は、中国系アメリカ人のエンにとっては「原爆のおかげで戦争を早めに終わらせられた」という素晴らしい行いだったし、日本人の僕にとっては、非戦闘民をに対する大量虐殺行為にしか見えない。自国語を剥奪され日本語を無理やり教え込まれた韓国人、日本語をよかれと思って韓国人に教えてあげた日本人。
歴史は歴史。その時代に生きていない僕らにとって、真実は闇の中だから。元々、認識にずれのある歴史について話し出すと、議論は半永久的に収束しない。
じゃあ、不毛な議論かというと、そうでもないんです。
4人で延々と話しているうちに、気付いたことがあります。
ひとつ。話し相手の出身国が、自国に対してどのような歴史的感情を持っているかを理解することが重要。ネガティブな感情を持っているなら、その気持ちを一個人として汲み取った上で、自分自身の意見、自分が教え込まれてきた「真実」について話せれば、議論が多少白熱しても喧嘩になることはありません。
もうひとつ。政治家達は、過去の戦争で行われた過ちを「政治カード」として使っているけれども、それは間違った歴史の使い方。歴史とは、過去の行いについて双方が話し合い、失敗から学ぶためのもの。同じような過ちを犯さないことで、争いをなくせるはずです。
過ち続きで。統計分析の教授がいい事を言っていました。
「全ての情報にはプラスの価値がある」
そこで反論した生徒:
「もし、付き合っている相手が浮気をしている、という情報を得たら?私は、自分の彼が浮気をしていても、それを知らなければ幸せに付き合い続けられたのに。」
「その通り、だが、それを知った上で、相手を許してより幸せになることだってできる。もしくは、その相手と別れて、別の相手との幸せを探すこともできる。いずれにしても、情報の価値はプラスだ。」
なるほどね。そしてもうひとつ。
「過去に蓄積されたデータには、悪いデータというものは存在しない。
全てのデータは、将来を最適化するための情報源だ。」
確かに。僕ら人間は、不本意にも過去に多くの「あやまち」を犯したり、嫌なことを経験してきた。いじめられたり、いじめたり、ふったりふられたり。恥ずかしい思い、悲しい思い、死にたくなるような辛い経験もしたかもしれない。それらのデータがあるからこそ、今の私がいて、そのデータは将来の私を形作るのに使える。
全ての情報は、将来的にプラスなのだ。
そして、全ての議論は、プラスの結果を生む力がある。
僕ら4人は、お互いのこと、相手の国のことをより深く理解することができたから。
不毛な議論などというものは、存在しない。はず。
投稿者 g_nagata : 2005年11月03日 06:10
コメント
私も以前スペインに3年間語学留学をしていました。その時他の国の人達と様々な話題について論議しました。その時感じたのは、歴史において被害者と加害者といわれる国の人達の感じ方が全く違うという事。当たり前なのですが、少なくとも被害者はその事について決して忘れないだろうし、加害者は出来るだけ忘れたいという心情が表れていました。やはりまずは歴史を正しく認識してから、相手の立場にたって考える事かなと思いました。簡単な事のように思えて実は今一番日本でも必要なことではないかと思います。私はもちろんどの事件も実際には体験していないけど、今若い世代?が色んな論議をしてきちんと一人一人が考えていかなければ間違ったといわれる歴史は何度でも繰り返してしまうのではないかと思います。
投稿者 maimai : 2005年11月03日 11:06
maimaiさん
スペインに3年ってすごいですね。もうスペイン語はペラペラかな?
南京大虐殺。中国の若者達にとっては、リアルタイムに経験した
ことでなくとも、その惨事を目の当たりにした祖母の世代から
直に聞いて日本が嫌いになったというのが衝撃的でした。
僕らの世代は被害者でも加害者でもないので、今更昔のことに
ついて相手を攻める、相手に攻められるのは意味がわからない
んだけど、それでも攻めたい人はいるわけで。
いったん相手の気持ちを汲み取った上で、歴史を振り返り、
どうしたら同じことが起こらないか、というのを議論すれば
建設的だと思うんです。
アメリカ、特に共和党・右派は歴史から学ばず、世界中の国に
喧嘩をけし掛けては相手国に被害をもたらし、自国の兵隊から
犠牲者を出しているんですよね。ならずもの国家ならぬ、
愚か者国家だと思うんですが、サンディエゴは保守的なので
みんなの前ではあまり大きい声で言えないのがジレンマ。
投稿者 ジョージ : 2005年11月03日 11:48
早速のお返事有難うございます。感情的になるより事実を認識してこれから同じ間違いをおこさないようにはどうしたら良いのかとお互いに議論していく方が良いですよね。どうも最近日本でも世間が嫌~な傾きをしてきているので暗くなってしまうのですが希望を持ってジョージさんのように前向きに考えたいと思います!スペイン語は帰国後ほとんど使っていないので忘れるばかりです。。サンディエゴでもスペイン語はよく聞くのでは?
投稿者 maimai : 2005年11月03日 13:05
深く頷きながら拝見しました。
「全てのデータは、将来を最適化するための情報源」そのとおりだと思います。
負の遺産。そんなものはない方がいいけれど、それはどだい無理な話で、
負の遺産でさえも、それが今を形成し、未来を作る。
今、それをどう捉えどうこれからを作り上げ、先に進むか。
長短正誤+-。正論はなく真偽もまた存在しないのかもしれない。
それでも、いかにそれを良いものに転じていくか。
あらゆる角度からものを見て、あらゆる人の立場で考えられるそんな自分でありたいと思います。
こちらも小声で。日本と日本の政治。つくづく似てきたと思います。アメリカに。
投稿者 nana : 2005年11月03日 19:14
読んでてジーンとしちゃいました。
全てプラスにしていけるように、
私自身が、知って、考えて、行動していける人にならなくちゃ。
いい友人や教授に囲まれて、良かったね。
どんな環境でも、ジョージさんなら、プラスにしてしまうんだろうけど(笑)
投稿者 ange : 2005年11月04日 16:55
なるほどー、と思いました。
誰が間違っていたか誰が正しかったかではなく、
何が間違っていたか何が正しかったかという視点で考えると、
未来につながる様な気がします。
誰が間違っていたかの視点に立ってしまうと、
広島原爆 VS 真珠湾攻撃 VS 南京大虐殺みたいな構図が出来上がり、平行線になること間違いなしですが、
何が間違っていたかの視点に立つと、
広島原爆 AND 真珠湾攻撃 AND 南京大虐殺となります。
じゃー二度と繰り返さないようにしましょう、って事になれるかもしれない。
常に発信される人の立場によって主観的に曲げられるから、
情報は完全な真実にはなり得ないのに、
他の立場に対して耳を傾けることをせず最初から排除してしまうから、
それだけが真実の様に思い込んでしまうんですよね。
だから、
こんな世界の色々な価値観を持っている人と接する機会は、
未来のリーダーとして本当に重要だと思うんです。
ただ、僕が不思議でならないのは各国の政治家や外交官って、
みんな多感な学生の頃に海外に留学したりしてしている人ばかりで、
経歴はすなばらしーものばかりです。
それをステータスに掲げている訳ですし。
じゃー、それぞれの国の中でも特に、きっと幅広い価値観を理解している人の集団であるはずです。
ところが、見ていると恐ろしく偏って見える人ばかり。
何でなんだろう。
インターナショナルになればなるほど、
愛国精神が強くなり頭が固くなるんでしょうか。
それとも、政治は「何が」ではなく「誰が」を主張しなければならない仕事なんでしょうか。
謎です。
投稿者 きょー : 2005年11月05日 10:19
すごい充実しているなぁー。
こういう経験って、私みたいに日本から出ない子には絶対に出来ないことなんだもの。
でもちょっと驚いた。アメリカにいながらにして、っていうところが。
アメリカの中にまぎれてしまったら、アメリカンナショナリズムにどっぷり浸かってもしょうがないと思うし(現に私の姪っ子が今そうなので)。
お互いが相手に理解を示すことが大切なんだと、改めて思いました。それは人種云々ではなく、日常の中でもそうだわよね。
そういうメルティングポットの中に飛び込む勇気があれば、私ももっともっと深い価値観が持てるかもなぁって思うんだけど・・・。
投稿者 55aiai : 2005年11月05日 19:33
戦争における事実や真実って何?
投稿者 きんぐ : 2005年11月06日 09:42
maimaiさん
更にお返事ありがとうございます。日本でも世間が嫌な傾きをしているのは、政治、メディア、そしてネットがそういう風潮になっているからですよね。小泉も右寄り。自衛隊はイラクに。更に、中国経済が発展する中、日本の経済は大して改善されず、国民は反中意識が高まってるし。結局のところ、その国、政治、メディア、ネットの意識を作るのは、一人ひとりの国民です。僕らがオープンな姿勢で他国及び自国の人達と話をすれば、世の中もっといい風潮になると信じて。
nanaさん
日本にとっては広島の原爆ドームは負の遺産。アメリカにとっては、ナガサキ・ヒロシマは戦争を終えた正の証。無理やり双方から見れば、正でも負でもなく、やはりただのデータなんですよね。日本と日本の政治ねー。小泉はブッシュの子飼い、及び、靖国参拝支援団体の言いなりですね。って、これも憶測ですけど。
ange~
おひさし。そうそう、全てはプラスに。今、ボクのおなかについている脂肪もプラス。全てなくなれば筋肉プラスに。
僕はつくづく、人に恵まれた人間だと思ってるよ。これ以上は何も望まないもの。
投稿者 ジョージ : 2005年11月06日 17:10
きょー
>誰が間違っていたか誰が正しかったかではなく、
>何が間違っていたか何が正しかったかという視点で考えると、
>未来につながる様な気がします。
この視点は、政治、国際関係に限らず、会社同士の繋がり、夫婦間のいざこざ、色々なところで使えると思います。一言でいうと、「罪を憎んで人を憎まず」の精神なのかな。
なぜ、経歴がすばらしー各国の政治化や外交官が偏ってしまうのか。国にもよるけど、その人の属した組織そのものが偏った考えを持っているで、朱に交わって赤くなっているとか。それとも、某政治家のように留学は形だけで卒業も国際交流もせずに遊んで帰ってきている、とか。嘆かわしいよね。
aiai,
アメリカの中でも、ここ西海岸は人種差別の壁が低いので気楽に生活できるよ。南部、東部の内陸は今でも日本人ってだけでハンデを感じていたかも。西部のメルティングポットぶりには感激しました。
大学までアメリカに居たら、アメリカンナショナリズムに浸かっていたかもしれない。TVの「ココがヘンだよ」に、外人席に座っていたヘンな日本人のように。「お前、どっち側の人間だよ!」っていう。一時期、そうなりかけた時もあったと思う。でも、僕は日本人。日本が好きだし、日本を攻撃されたら防御したくもなる。日本をもっとみんなに好きになってもらいたい。だからこそ、ナショナリズムに浸かりたくないんだ。
きんぐ、
戦争の事実は、経験した人しかわからない。
戦争の真実は、政治とメディアがグルになって作ってる。
アメリカがイラクの囚人をどれだけ拷問してるかわかったもんじゃないよね。
アメリカ人のおおよそ半分は、こんな時代になっても未だに戦争バンザイな人達。洗脳って恐ろしいよね。
投稿者 ジョージ : 2005年11月06日 17:29
相手を否定するためだけの議論、というのには
ほんと、うんざりします。
すべてがプラス、という発想。
僕も心に刻みつけておきたい言葉です。
いい話をありがとうございます。
投稿者 fuRu : 2005年11月06日 21:15
fuRuさん
お久しぶりです。議論は常に建設的であるべき、そう思ってます。
否定なら誰でもできるけど、その先の「あるべき姿」を提案できる人って
本当に限られてますよね。
統計の教授は、本当に素晴らしい人です。
なんでも奥様と離婚調停中らしくて、「色々大変なんだよね」
と言いつつ、「でも、すべてはプラスだから」と明るく
笑ってます。
投稿者 ジョージ : 2005年11月09日 10:57
1ヶ月以上前の記事にお邪魔します。
歴史の話は面白いですね。
共通の事実を語るというより、文化背景や教育、また、国策?と思われる不思議な理屈・・に基づいた其々の「解釈」を語ることになり、思想が透けて見えるというか。実感として得られるのは海外生活ならではですよね。こういうことにぶち当たるとウキウキします♪(私自身は英語の勉強で精一杯なESL生徒なので、話してる内容は大したこと無いし呑気なのですが。)
投稿者 ぽんこ : 2005年12月08日 16:31
ぽんこさん
歴史感の相違って、一歩間違うと大喧嘩になりがちなので
ついついみんな避けようとするんですが、そこをあえて
乗り越えようとしないと本当の友達にはなれないと思って
話をしています。「乗り越えたな」と感じた瞬間が、最高。
投稿者 ジョージ : 2005年12月09日 02:30



