Kamesan Daily

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2006年02月24日

ジャズの伝道師 -Benny Greenその4-

「そうか、ピアノを弾いているのか。いつか聴かせてくれよ」
過去数回、ライブ後の会話でベニーはいつもそう言うのでした。

pict

聴いてもらえるチャンスと思い、ライブ後の会場で、「一曲だけピアノを弾いていい?聴いてもらえる?」とお願いしてみました。

横に居た主催者が「大丈夫かこいつにピアノ触らせて?」的な、ちょっと怪訝な顔をしたのを見て、ベニーが「大丈夫、彼はジャズピアニストだから。弾いてもいいよね?」と主催者にお願いしてくれました。これで心置きなく弾けます。

選んだ曲は、20世紀を代表する偉大なジャズピアニスト、オスカー・ピーターソンが好んで弾く"Old Folks"という曲。オスカーはベニーが敬愛するピアニストであり、彼にとってのインスピレーションたる存在。ベニーもこの曲を良く知っているだろうし、オスカーっぽく弾けばすぐに伝わると思い。

アドリブをしながらふと横を見ると、目を閉じてピアノを聴いているベニーがたまに「んーっ」「いいぜー」って合いの手を入れてくれています。暖かく見守ってくれているのをじんわりと感じながら、オスカーっぽさとベニーっぽさを交えてアドリブをする自分。映画「Sayuri」で言えば「会長」の前で踊る成長したサユリの気分ですね。

Old Folksを終えると、「いいよ、とてもいい。もっと弾いてよ。」と言ってくれました。嬉しくって、今度はアントニオ・カルロス・ジョビンのボサノバ、"Fotografia"に思い入れを込めて演奏。思い入れの一つは同じサークルからジャズを始め、その後バークリー音楽院で深く学び、ヴォーカルグループ"Syncopation"を立ち上げたTsuneがメジャーデビューしたアルバム”Of Blue”でこの曲をアレンジしていたこと。もう一つは、尊敬してやまない日本人ピアニスト、福田重男さんが好んでライブで演奏していたこと。

思い入れがあればあるほど、いい演奏ができるものです。ずっとピアノやっててよかったな、サンディエゴきてよかったな、色々な出会いのおかげでこうしてピアノが弾けるんだな、そんなことを思いながらFotografiaを弾き終えると、いつの間にかベニーの横に座っていたコンサート主催者や片付けの人達からも拍手をもらえました。

続けて、ビル・エバンスやキース・ジャレットの演奏で有名な"I Loves You Porgy"など数曲を弾いて、おしまい。ニコニコと見守ってくれていたAsakoには「ジョージさん、今日はノッてますね」と言われて嬉しかったり。

 ♪I Loves You Porgy http://kamesan.net/Songs/ilovesyouporgy-051230.mp3 (Piano - George / Bass - Rob Thorsen)

ピアノの音を通して、彼のおかげで自分がジャズピアニストとして成長できたこと、彼が今後も弾き続けてくれることが僕や多くの若手ピアニストにとって大きな価値であることを伝えました。

「ありがとう。これからもずっと弾き続けてくれ。仕事やバンド仲間は後からついてくるから、今まで通り、美しい音楽を心からプレイするといい」とアドバイスをくれて、更に「ピアノのことで何か聞きたいこと、手助けできることがあったらなんでもする」とオファーしてくれたベニーの人柄に、ますます惚れました。きっと彼も、オスカー・ピーターソンやレイ・ブラウン、その他の偉大なミュージシャンに優しく厳しく育ててもらい、ここまでたどり着いたんでしょう。

歴史の浅い国アメリカが産んだ、ジャズという音楽の形態。彼らが下の世代に伝えていかないと、なくなってしまう。そういう危機感と愛を持って、彼らは上から下へとジャズを伝えるんです。

そして僕も、自分が愛する音楽、自信を持って薦められる音楽を、こうして皆さんに紹介し続けることがライフワークの一部となりつつあります。今回はAsakoに生のベニーグリーンを聴いてもらい、すっかりファンになってもらいました。次回は更に多くの友達に紹介しようと決心。

CDもいいけど、やはりジャズの真価は生でしか伝わりません。機会があったら、是非生でジャズの演奏、ベニーのピアノをお聴きくださいな。

Benny Green - Homepage
お勧めの一枚 - Jazz at the Bistro at Amazon.co.jp

 
ここ数年、ベニーと積極的に演奏を続けるソウルフルなギタリスト、ラッセル・マローンとのデュオライブ録音。二人だけで演奏しているのに、その勢いと迫力はまるでフルバンドのようにひたすら熱い。カーペンターズ及びテレビ番組「セサミ・ストリート」でフィーチャーされた名曲、"Sing"の演奏での観客の盛り上がりに注目。

 ♪Sing from "Jazz at the Bistro" - http://kamesan.net/Songs/Sing.mp3 (Piano - Benny Green / Bass - Russel Malone)


投稿者 g_nagata : 2006年02月24日 09:58


コメント

入魂のピアノ。全体の構成。「I Loves You Porgy」最高でした。
ベースの音(スラップも含めて)大好きです。
しかし、アメリカの片隅でやったギグ(しかもアフターアワーの演奏!)が、すぐに日本でこうやって聴けるのだからすごいね・・・。

投稿者 よっちら : 2006年02月25日 13:05

なんだかジョージ君のピアノや音楽に対する愛を感じて、感動しました。
本当に良かったね:)

売れることが目標になると、どんどんつらくなるけど、
本当は私も音楽が大好きだったんだってこと、教えてもらいました。

心からプレーをしなきゃだね。

ピアノ、最高だったよ:)ありがとう。


投稿者 いずみ : 2006年02月26日 10:06

ノンフィクションのすばらしさというか、生きてるっていいね
って素直に感じられる日記だったよー。

ほのかに涙が出た。

投稿者 megu : 2006年02月26日 15:29

よっちらさん、
この録音は…ベニーに聞いてもらったものではなく、一ヶ月ぐらい前に地元のRob Thorsenというベーシストと一緒に気軽にジャムしたのを録音したものなんですよ。この人がまた性格もグルーブ感もいい人で、一緒にやるとぐいぐいスイングするんです。ジャズは相手次第で随分変わりますよね。

いずみさん、
そうそう。売れることは結果であり、目的であってはならないと思うんだ。プロではないから偉そうなこと言えないけどさ。その点、いずみは心から唄えるボーカリストだから、これからも多くの人の心に響くと信じてるよ。

megu、
ありがとう。そうね、人間て一人で生きている気がするけど、実際はこうして多くの人からいい刺激を貰っているんだよね。人は一人で生きているかもしれないけど、人間は人との間でこそ生きていけるんだと思う。

投稿者 ジョージ : 2006年02月27日 15:04

ジョージ♪


満喫しているねぇ~(^0^)/

春休み、時間と財布の余裕があれば訪米する予定なので、バイクでお邪魔しようかな!(笑

しっかし、いい顔してるね~♪

投稿者 mayumi@tokyo : 2006年02月27日 18:01

そっちでも楽しんでいるのね~♪
音楽は言葉や国境を越える、今まさにそれが目の前で起こってるって感じかしらー。

この前ブラジル人としゃべったんだけど、英語って便利だなぁと思った。お互いしどろもどろになりながらも会話出来たもんなぁー。
ジョージさんの第二外国語ってなに?スペイン語とか?

投稿者 55aiai : 2006年02月28日 17:32

Mayumi
なんと、春休みの渡米予定かね。実は2月23日から3月終わり頃まで学生を連れて日本に行く予定なのだよ。が、U子は残るので、もしよかったら一緒に遊んであげてちょ。

aiちゃん
ほんと、まさに音楽の魅力は国境も人種も越える、って感じ。音楽やっててほんとに良かったよ。

ブラジル人ってもしかしてノゲイラか?面白い出会いだね。因みに僕の第二外国語はフランス語。あまり使えません。

投稿者 ジョージ : 2006年03月01日 10:06

本当素敵な話ですね。

何か通じるものがありますよ
音楽って

いつもありがとう

投稿者 akkoman : 2006年03月06日 00:55

akkoさん
最近すっかりBlogご無沙汰なジョージです。
音楽は万国共通で、かつ、言葉よりもストレートに
通じる言語だと思ってます。僕にとっては第三外国語かも。

投稿者 ジョージ : 2006年03月07日 10:59

なんともうらやましい写真です。
ジョージさん、ピアノGoodでしたよ!

投稿者 まつもと : 2006年03月09日 22:21

まつもとさん
コメントサンキューさんきゅー。
今後も精進します。

投稿者 ジョージ : 2006年03月18日 18:31

永田ジョージ様へ:初めて書き込みをさせて頂きます。Benny Greenへの思い、そして師匠が目をつぶってジョージさんのピアノを聴いてる情景が目に浮かび、その時の感激が伝わり私も興奮しています。実は私も密かにもし聴いて頂けるのなら“この曲”と決めてはあるのですが、現実になったら指が震えてとても弾けないと思いますのでジョージさんが羨ましい限りです。励みになりますよね!私もBenny Greenを1991年からずーと気になっては居たのですが、今年の1月に東京駅にあるコットンクラブでTrioを聴い、やっと大好きなんだ!と自覚した鈍い者です。1月28日のライブ後にサインを頂きに行ったら気さくに色々とピアノの練習方法とかも教えてくれました。彼のShiny Stockingをコピーしました、と伝えたら凄く喜んでくれました。その晩は感動して夜も余り寝れず、結局翌日もライブに行ったのですが、演奏開始ギリギリで入った事もあり目だったのでしょうか、
(私の思い上がりだと思いますが)Shiny stockingが入っているCDからCuteを弾いてくれました。も~嬉しくて嬉しくて
!!アンコールもAll Too Soon は何とも悲しげで温かい曲で右手だけで弾いた単音は本当に久々に胸に響きました。最前列に座る事で出来たのでライブ後に挨拶しに行ったら、Benny Greenの方から“君のリアクションが良くてとても励みになったよ。ありがとう~”と言って下さり恐縮してしまいました。それからすっかりBenny Greenのkeep on playingと家宝になってる写真を励みにして練習をしています。私もジョージさん同様これからもずーとBenny Greenを応援して見習って行きます。所で以前に彼のホームページを捜した時は見当たらなかったのですが、こちらにリンクしているのは最近アップされたのでしょうか?ついジョージさんの師匠への思いを拝見して私も長々と書いてしまいました。これかも時々拝見させて頂きますので宜しくお願いします。Benny Greenを師匠に!と言うジョージさんと、もしかしてお話が出来るのかな?と思うと又又Benny Greenに感謝です。

投稿者 shushu : 2006年05月15日 16:41

shushuさん
書き込みありがとうございます。Bennyへの熱い想い、同じですねー。1月にCotton Clubでやったんですね。羨ましい。

彼は本当にいい人なんですよね。心のピュアさがバラードの演奏でにじみ出ています。物凄く新しいことをするわけでもないし、オスカーのように超絶技巧でもない。でも、演奏には一本の強い芯があるので、何度聴いても彼の演奏は色褪せません。

最近は彼のホームページも充実してきましたね。応援しつつ、私達も彼のように人に感動してもらえるピアノを弾き続けましょう。

投稿者 ジョージ : 2006年05月17日 22:50

早速のお返事ありがとうございます。私の周りにはBennyの良さを分かる人が少なくて、ジョージさんと分かち合えるのは本当に嬉しい限りです。

私はまだまだ人前で演奏するのが恥ずかしく緊張をしてしまう段階ですがBennyから精神力を持って弾いて!と励まされ頑張ってます。ご存知でしょうか?Jay Leonhart TrioのCDで”Fly Me To The Moon”のBennyもとっても良いので、もしまだお聴きになっていない様でしたら是非どうぞ!2004年の録音です。

所で今年の秋頃に用事がありNYに行く予定をしてまして、せっかく行くなら是非Bennyの演奏が聴きたいと思いBennyのHP、とAMS ArtistsのHPを見ましたら10月にBlue Noteへの出演が2回あるのを発見!1回は10月3日からのRay Brown Tribute で、もう1回は10月17日からのBenny 単独のライブみたいなのですが、Tributeと言う形のライブは行った事がなく、Benny 以外のピアニストも出演されると言うライブなのでしょうか?お忙しい所申し訳ありませんが、もしご存知でしたら教えて頂けたら有難いと思います。宜しくお願い致します。

最後になりましたがアメリカの日系新聞掲載おめでとうございます。益々のご活躍お祈り致します。

投稿者 shushu : 2006年05月25日 13:27

shushuさん
Bennyの録音は色々と聴いていますが、TELARCあたりのは全ていい感じですね。東芝EMIなどの日本企画のものはちょっとやっつけな感じがしないでもないですが。

Tributeについてはなんとも言えませんが、通常はピアニストは一人だと思いますよ。あとはベース、ドラムもしくはベースやギターが加わるんではないでしょうか。

実際のところはわからないので、Bennyのマネジメントにメールを出せばきっと答えてくれると思います。是非。

投稿者 GeorgeNagata [TypeKey Profile Page] : 2006年06月01日 21:26

ジョージさん:

有難うございます。マネジメントにメールを出すと言う案は思いつきませんでした。

早速、問い合わせてみますね!!

回答が来たらお知らせします~。


投稿者 shushu : 2006年06月02日 02:06

ええ。もしかしたらまだ共演者は決まっていないかもしれませんが、とりあえず問い合わせれば何らかの答えは得られると思いますので!

投稿者 GeorgeNagata [TypeKey Profile Page] : 2006年06月02日 05:21

そうですね~。一応 “Tribute" ではピアニストがBenny 
一人なのか、それともピアニストが複数出演なのか問い合わせをしました。

どんな返事が帰って来るか楽しみです。

投稿者 shushu : 2006年06月04日 19:51

ジョージさん:

早速マネジメントより10月3日からのBlueNoteに
Benny will be there and the band is excellent.
と返事を頂きました。お陰様で安心して予定を立てることが出来ます。Nice idea 本当に有難うございます。

所で、サルサ拝見させて頂きました。
池袋カフェ・カリビアンが会社の近くなので今度初心者コースに参加しに行ってみるつもりです。
ジョージさんの嗜好が私と似ている様で有難い存在です。
これからも色々と教えて下さいませ!
宜しくお願いしま~す。

投稿者 shushu : 2006年06月08日 17:05

メンバーが誰であれ、Bennyのライブは必ず満足する内容だと思いますよ。
少なくとも、今まで聴いたのはいずれも心が躍っちゃうようなパフォーマンスでした。
僕もそうなりたいな。

投稿者 GeorgeNagata [TypeKey Profile Page] : 2006年06月16日 18:57

ジョージさんへ:

私もそうなれるよう頑張ります。先日プロのベーシストとドラマーとトリオで演奏させて頂き、ジャムとは又違って気持ち良かったです。

所でベニーと一緒に写ってる写真はジョージさんの演奏後の写真でしょうか?とてもリラックスしてて楽しそうなので・・・チョット気になりました。

ベニーから凄いパワーを頂いたんだな~と最近改めて思います。
ジョージさんのブログを再読して、私も感じていた通り彼は本当にいい人だな~と痛感しました。

今から10月が待ち遠しいです。

投稿者 shushu : 2006年06月22日 13:56

そです、演奏後です。半端なくしっかりと肩を組んでくれるんで、
嬉しくってこんな顔になってました。

投稿者 GeorgeNagata [TypeKey Profile Page] : 2006年06月23日 19:36

ジョージさん:

ご無沙汰しております。お元気でしょうか?
ピアノの演奏はされていますか?
いよいよNY Blue Noteで "Tribute"
が3日から始まります。とても楽しみにしていたのですが都合が悪くなり2週間前にフライトとホテルをキャンセルしました。
スケジュールを見ると来年の5月に例のゴールドフィンガーで来日するので勇気を持って、サインを頂きに楽屋を訪ねて見ようと思います。
本来なら“素敵なパフォーマンスでした”報告をしたかったのですが“行かれなくて残念です”報告になってしまいました。

これからも師匠がいつまでも心身ともにお元気で活躍して頂きたいと心から願っています。

投稿者 shushu : 2006年10月01日 23:54

ジョージさんへ:

如何お過ごしですか?
先週何気なく師匠のHPを見ていましたら何と師匠が日本に来ていて、明日のTUCでのライブが最終!!を発見、もう大急ぎでライブハウスに予約を入れました。
クレイトン・ブラザーズのピアニストが急遽都合が悪くなり師匠に変更になったとの事でした。

10月にBLUE Note NY に行けなくて、暫く泣いていたのですが
メンバーがステージに立った姿を見たときは、“ニューヨークがやって来た!!”と思い、それだけで嬉しいのに、ステージは管2本、ギター、ピアノ、べース、ドラムスの構成で “In A Mellow Tone" 以外は全てオリジナルでしたが、バンド自体メチャメチャクールでした。サイドマンとしての師匠を聴くのは初めてでしたがそれはそれで本当に凄いし楽しいし息が苦しくなる位にメンバー全員が泣ける音を出していました。2ステージ目の師匠はぐっと盛り上ってて、物凄く綺麗なピアニシモをかもし出していました。選曲、曲順、は素晴らしいものでした。勿論演奏は半端ではありません!!ラストの“アメイジング・グレース”のEndingは全員が12小節くらい音を消し緊張感をキープしてから終ったのも感動でした。


この日は師匠のファンは男性が多かったので私としては意外でした。一人一人に丁寧にサインをし、写真を撮ってるのを見て、本当に師匠は心が強く落ち着いた人なんだな・・・と感じて見習う事はジャズだけではない!!と思い家路につきました。
NYに行けなくてもNYが来てくれた事に心から感謝しているこの頃です。

投稿者 shushu : 2006年12月06日 23:03

Shushuさん、
それはめっけもんですね。こないだLAで聴きに行ったばかりですが、早くもBennyのピアノを聴きに行きたくなりました。ピアニシモが特に美しいですよね。

投稿者 GeorgeNagata [TypeKey Profile Page] : 2006年12月10日 11:36

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