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2006年02月20日

レイ・ブラウンに見守られて -Benny Greenその3-

電話に出たベニー・グリーンは、留守電だった。ここ、ちょっと川端康成っぽく。

ということで、ライブ二時間前になってもチケットが確保できずオロオロ。「いいライブがあるってお勧めしておきながら、チケット確保できるかわかりませぇん」と情けない声でゲスト予定のAsakoに電話しつつ、暫くしてから再びベニーに電話。

ベニー、頼むから電話に出てくれ。

トゥルルルルルルルル・・・ トゥルルルルルルルル・・・ ピッ

 "もしもし、ベニーですけど"
 (留守電か、と思いながらドキドキしつつ)
 "あ、ベニー? 僕ですジョージです。"

 "おー、ジョージ君か。I'm sorry to tell you... 残念ながら・・・"

 (残念ながら?)

 "ゲスト枠のチケットは一枚しか確保できなかったんだよ。"
 "マジで?いやいやいや、一枚だけでもすっごく嬉しいですありがとう。
  もう一人はキャンセル待ちで入るから!"
 "そうか。いや、ほんと申し訳ないね、会えるのを楽しみにしてるよ。"

わざわざゲスト枠のチケットを一枚確保してくれながら、申し訳ないと恐縮するベニーの人柄に感激。開始45分前に会場に到着し、キャンセル待ちリストに追加してもらい、待機。開始10分前になり、無事入場。

周りを見渡すと、客席の97%は50歳以上。僕らを入れて3人が20代~30代。アメリカではこれほどまでにジャズが若い人に人気がないとは思わなかったが、それも時代の流れか。主催者の挨拶に続いてベニーが入場。客席からは暖かい拍手が。そして共演者のベーシストが登場。

彼の名前を聞いて驚きました。ジョン・クレイトンというLAのジャズミュージシャンなんだけど、三日前に参加したジャムセッションで、彼の息子のジェラルド・クレイトンと競演したばかりだったんです。なんたる偶然。後で聞いたら、ジャズ界においてジョンはベニーの「兄」のような存在らしくって、二人共レイ・ブラウンという偉大なベーシストに「父」として育ててもらったんですって。

演奏中も、ジョンがベニーに"Yeah Benny" "Go Benny"って何度も合いの手を入れて盛り上げ、先輩ミュージシャンとして彼のピアノを引き立てる素晴らしいベースプレイを披露。客席から見てると、まるでジョンがレイ・ブラウンに見えてしまうぐらい、レイのソウルがジョンに宿っていました。

ジョンとレイの二人に見守られながら演奏するベニーは終始穏やかな表情で、速い曲では狩をする鷹のような鋭いフレーズを、バラードではとことん抑えたタッチでメロディラインを丁寧につむぐ。

休憩を挟み、あっという間にライブは終了。年齢層が高かったためか、ぐわわーっという盛り上がりには欠けたものの、終始暖かいムードの中での豊かな演奏に、ゲストのAsakoもすっかりベニー・グリーンが表現するジャズピアノのとりこになりました。

帰りぎわのファンの一人ひとりに、丁寧に挨拶するベニー。暫く話せそうもないなー、と思っていたら、ある考えが浮かぶ。トントンと彼の肩を叩き、ピアノを指差し「ベニーのために一曲弾いていい?聴いてもらえる?」って、ドキドキしながらお願いしたところ、「もちろんだよ!是非弾いてくれよ。」との返答。うぉぁぁ、テンション上がる。

ところが、すぐ横に居た主催者が、「え、こんな得体の知れない若造がピアノを弾くのか?」とちょっと怪訝な顔をしたのを見て、ベニーは・・・

☆ もうちょっと続く

Benny Green - Homepage
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ドラムの替わりにギタリスト、ラッセル・マローンを入れたトリオアルバム。最初に演奏している曲"Virgo"は、日本ジャズピアノ界の星、海野雅威くんも大好きな曲らしく、ライブや彼のCD (右欄参照)でも演奏しています。トリオとして非常にまとまりのあるベニー達の演奏、僕も自分のバンドをやる際に大いに参考にしました。ギターの音が渋いので昼よりは夜に聴きたい一枚。

投稿者 g_nagata : 2006年02月20日 09:58


コメント

客席の97%は50歳以上!本当に若い人が居ないのですね。
でも確かに多くの表現が開放、露出に向う時代にあって、JAZZは、寸止めの粋?!を楽しむところがあるから、音楽を楽しむにあたって精神的な成熟が必要な気がします。イメージですが。若い人というか、現代文化にどっぷり浸かってる人はあまり興味を持たないのかもしれないですね。かく言う私も、最近滅多に聴きませんが。

ところで、半月程前に自分のPCが壊れて、どーしてもこの半月、ジョージさんのところに書き込み出来無いのです。週末ちょっと回復したみたいなので今日またチャレンジしてみます。これから投稿ボタン押します。ドキドキ。書き込めるかなー??

投稿者 ぽんこ : 2006年02月21日 03:50

ぽんこさん、

そうそう、かなり年齢層上で、うちらは結構浮いてました。
寸止めか。言われてみればその通りですね。コントロールされたカオスっていうか、壊れないところギリギリで即興してるところはあります。

あとは、ジャズって生で聴かないと良さが判らないので、現在のように生でジャズを聴く機会があまりにも少ないと、そもそもジャズに興味を持つ人がいないんですよね。昔は至る所でジャズの生演奏があって、それを聴いた(当時の)若い人が「とんがってる!かっこいい!」って思ってジャズリスナーになり、それから30年後の今は50歳代、という。

ジャズプレーヤーとして、由々しき問題なんです。
どうやったらもっと生で聴いてもらえるかなあって。

投稿者 ジョージ : 2006年02月21日 12:09

> コントロールされたカオスっていうか、壊れないところギリギリで即興してるところはあります。

なるほど。だからこういうイメージを持ったのか、私。。
書き込んでから、「しまった、ジョージさんはプレイヤーじゃん。素人の勝手なイメージ書き込んでもーた、恥ずかしー!」と思ってたのですが、ジョージさんの返信がなるほど納得だし格好良くて、それを読めたから良かったです(^^)

投稿者 ぽんこ : 2006年02月25日 07:38

「寸止め」「コントロールされたカオス」、どちらも的を射た比喩ですね!
これから、ジャズを説明する時のフレーズとして使わせてもらいます。ぽんこさん、ジョージ君、ありがとうございました。

投稿者 よっちら : 2006年02月25日 12:49

ぽんこさん
昨日もラホヤのお店で演奏しながら思ったんですが、自分の限界ギリギリに挑戦しないといつまでたっても表現力は上がらないし、かといって技量や表現力を超えすぎた演奏は聞き苦しいだけなんです。寸止めの芸術。

よっちらさん
お久しぶりです。的ドンピシャですよね。
ジャズの即興って、判らない人から見ればでたらめに好き勝手やっているように見えるけど、違うんだよと。ガチンコのケンカじゃなくて寸止めなんだってのは判りやすい表現だと思いました。

投稿者 ジョージ : 2006年02月27日 05:11

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