23世紀に発見された「光のピアノ」の原型

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23世紀初頭、古い地層の下からキラリと光る石が発見された。考古学者が丁寧に掘り出したところ、それは88本の色とりどりのプリズムが先端についた何かの骨組みであった。

Pavane by Mile

「これは一体なんだろう?」
「道具か?」
「飾り物か?」
「わかった、これは『ピアノ』という21世紀まで使われていた原始的な楽器じゃないか?」
「いや、『ピアノ』ではないな、共振して音を出力する弦がないじゃないか」
「うーん確かに。ピアノのハンマーには色はついてないはずだしなあ」

Mile - Pavane 3Photo by Chibizo

「こんなところに『LED』があるぞ」
「『LED』って?」
「21世紀まで使われていた原始的な発光体だよ」
「なるほど、では音を奏でる『ピアノ』ではなく、光を奏でる楽器なのかもしれないな」
「復元してみるか」
「よし、復元屋の23C参(23rd Century Mile)に頼んでみよう。」

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・・・ということで、先月末にミッドタウンの21_21 Design Sightにて「骨」展のクロージングがあったので、最終日のコンサートイベントということで「失われた弦のためのパヴァーヌ」を弾いてきました。

Mile - Pavane Photo by Chibizo

見るたびにその美しさに酔いしれ、長時間弾き続けても飽きないこの作品の魅力は、音と光のリアルタイム・コラボレーションです。沢山のお客様の中には三宅一生さんを含む多くのデザイン関係者ももいらして、この作品に対する世間の興味や期待を垣間見た気がしました。

これを作った参の松尾バンダイ君もライブ演奏を聞いていたんですが、悔しそうに「やっぱ音楽にはかなわないです」との感想をぽつり、と。僕は決してそう思わなくて、ピアノという楽器が長い歴史を経て進化してきて今の「一つの完成形」にはなったけど、それは「音を奏でる楽器」としての完成形でしかないと思います。

アウディが最近デザインしたベーゼンドルファー(お値段は10万ユーロって!)なんてのもあったけど、あれはピアノの見た目をリデザインしただけであって、ピアノの楽器としての意味まではリデザインしていない。

一方、「失われた弦のためのパヴァーヌ」は、ピアノの存在価値を根本から定義しなおしたものとして、まったくもって違う視点を世の中にもたらしたんじゃないかって思います。ピアノを弾いていてときどき思うのは、「この音楽、耳が聞こえるから楽しいけど、聞こえなかったら楽しめないんだよなぁ」ということ。更に、音楽を楽しむには最低限の音楽的教養は必要なわけで、動物にラヴェルを聞かせてもきっと楽しんでもらえないわけです。僕も18歳までジャズは雑音だと思ってたぐらいだし。

でも、「光のピアノ」は誰が見ても触っても聞いても、新たな楽しさがあります。ハンマーの先から壁に投影された光が上下するのを見たら、猫だって飛びついちゃうでしょう。赤ちゃんも泣き止むでしょう。奥さんも昔とった杵柄でピアノに向き合いたくなるかもしれない。レストランにあって誰かが演奏していたら料理を口に運ぶ手も止まるかもしれない。

そして23世紀に発掘されたら、「もしやこれが我々が知っている光のピアノの原型なのかもしれない!」と、今で言うハープシコードのような位置づけとして博物館に展示されるかもしれない・・・。と、そんな可能性を秘めています。

Mile - Bandai Matsuo

デザインユニット「参」の今後の活動から目が離せませんね。かげながら応援しています。

 MILE Project Homepage - http://mileproject.jp/

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コメント(4)

こんにちは。大変興味深く読ませていただきました。この楽器の発音システムは、サイレントピアノを応用した様な感じなのでしょうか?
動画を観た感じでは、弦が無い分ハンマーがオーバー気味に動いている様なのでなので、打鍵後のバックストップが遅れ気味になっているようで弾きにくかったのではないでしょうか?不躾な質問ですみません。

打弦位置でハンマーの動きをストップさせると演奏し易いのでしょうけれど見た目が面白く無くなってしまいますよね。

どうも。父から聞いてブログをちょこちょこ拝見させてもらってます。
いとこのbasketgirlです(笑)
いつか生でジョージさんの演奏聞きたいです!!
その時はそっくりな父と一緒に行きますね(笑)

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このページは、georgeが2009年9月 8日 17:43に書いたブログ記事です。

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